2023年03月30日

首相もポーズだけ? 「LGBT法案」議論棚上げ、自民の事情

3月26日に三島商工会議所でジャーナリスト鈴木エイト氏の講演会がありました。会場は200人を上回る聴衆でほぼいっぱいの盛況でした。
ちょっと前まで、テレビでは旧統一教会の話題で持ちきりで、鈴木エイト氏も各局のテレビ報道番組に出ずっぱりでした。
しかし最近、マスコミは旧統一教会問題を扱わなくなり、結局のところ「今どうなっているの?」が大方の人々が感じていることだと思います。
「LGBT法案」の件も同様です。
旧統一教会問題でもLGBT法案でも、自民党の態度如何ですぐにでも解決に向かうはずなのに、自民党内のごたごた事情によりなかなか前に進んでいかない事態となっています。
軍事増強には積極的な行動をしている岸田政権は、国民の関心の高い(かった)こうした問題からは逃げまわっているとしか思えません。
旧統一教会問題も、LGBT法案問題ももう国民は忘れ去ってしまったのでしょうか。岸田内閣の支持率が不支持と拮抗してきた状況を見て「ああまたか」とため息が出てきます。


首相もポーズだけ? 「LGBT法案」議論棚上げ、自民の事情

毎日新聞 2023/3/29

元首相秘書官の差別発言をきっかけに一時は機運が高まった、LGBTQなど性的少数者への理解増進を目的とする「LGBT理解増進法案」の議論が棚上げ状態となっている。自民党が統一地方選での悪影響を懸念し、議論自体を先送りしているためだ。超党派の議員連盟は広島で5月19〜21日の日程で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)までの法制化を目指すが、実現する見通しは立っていない。

一時的に高まった機運
 岸田文雄首相は今年2月の元首相秘書官の差別発言を受け、国会答弁で「多様性を認め合う包摂的な社会を目指す政権の方針とは全く相いれない。言語道断だ」と明言。自身も少数者の当事者団体と面会し、森雅子首相補佐官にLGBT理解増進担当を兼務させるなど、法案成立に前向きな姿勢を見せた。超党派の議連も自民党の岩屋毅元防衛相を新会長に起用し活動を再開。5月のサミットまでの法案成立を目指した。

 自民党も執行部が協議し、法案成立に向け党内議論を進めることを確認した。萩生田光一政調会長もテレビ番組で「党内のコンセンサスをしっかり得るために議論を進めたい」と発言。党政務調査会は性的マイノリティに関する特命委員会(高階恵美子委員長)に議論を委ねた。

だが、その後、動きは停滞した。

 首相は3月23日の参院予算委員会で「自民党においても同法案の提出に向けた準備を進めている。国会、各政党での取り組みを尊重し見守りたい」と述べたが、自民党の特命委での本格議論は始まっていない。「準備」が進んでいるとは言いがたい状況だ。

推進派議員「首相はやる気ない」
 なぜ議論が進まないのか。

 党政調幹部は「物価高対策や子育て政策などに追われ、なかなか時間がとれない」と弁明する。

 だが、法案推進派議員の一人は「一部の支持団体が猛反発するのは目に見えており、統一選が終わるまで議論されるわけがない」と指摘する。法案提出に向けて議論を進めてLGBTQや同性婚などの制度化に慎重な宗教団体などが反発すれば、統一選にも悪影響を与えかねないとの懸念からだ。

 この法案は2021年に、超党派の議員連盟が中心となって作成した。ところが当時、自民党内の保守系議員らが「(性的指向および性自認を理由とする)差別は許されない」という文言を問題視し、国会提出が見送られた経緯がある。

 議論が再び過熱し、党内を二分するような状況になれば、党のイメージダウンにつながる――。統一選に力を注ぐ党側が法案議論に二の足を踏むのは、こうした懸念もある。

党内には「統一選後に議論を加速させ、サミット前の法案成立を目指すべきだ」との声はある。

 だが、統一選後は、6月の経済財政運営の指針「骨太の方針」策定に向けた議論が本格化するのが通例で、法案の議論が進むかどうかは見通せていない。

 「岸田首相はLGBTQに理解のあるふりをしているが、実際はやる気がないのだろう」

 推進派議員の一人はこういぶかる。

「サミット前に」狭まる自民包囲網
 自民以外の政党は法案提出に前向きで、野党のみならず与党内からも自民党へのいらだちは強まっている。

 公明党の山口那津男代表は14日の記者会見で「自民党が後ろ向きな姿勢で、(G7)議長国を務めるのも恥ずかしいことだ」と批判し、サミット前に「一刻も早く成立させるべきだ」と求めた。

報道各社の世論調査でも、元首相秘書官の発言以降はLGBT理解増進法案や同性婚の法制化への賛成が過半数となっている。経済界からも自民党の法案議論が進まない状況にいらだつ声が出始めた。

 経団連の十倉雅和会長は20日の会見で、訪米した際の米政府高官との面会で、日本のLGBTQへの対応状況を聞かれたと明かし「『理解増進法案が国会で議論されようとしています』と答えるのも恥ずかしいくらいだった」と振り返った。

 十倉氏は「世界は理解増進ではなく差別禁止。日本はその前の段階の理解増進(法案)を出すのすら議論している。いかがなものか」と日本の対応の遅れに苦言を呈し「多様性こそ社会活性化の源。しっかりとした取り組みをお願いしたい」と注文した。

 自民党に対する「包囲網」は狭まりつつある。【藤渕志保】
posted by イズノスケ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月26日

放送法と官邸圧力〉「高市大臣更迭は本質ではない」「放送法を国民の手に取り戻すために放送法4条はただちに削除を」元経産官僚・古賀茂明氏

私の以前のブログで報道番組・報道ステーションの報道姿勢がある時期を境に大きく変化したと記しました。当時コメンテーターとして報道ステーションに出演し政府の方針を批判していた古賀茂明氏が突然番組を降板した頃のことです。
同じころ、他局でも同じような事例が起こっていました。
その内訳を古賀氏が集英社オンラインで語っています。
私が当時から、そして今も感じている報道番組による政権批判が弱くなっていった原因がやはりここにあったのかというのが私の実感です。


集英社オンライン・ニュース
2023.03.24

高市早苗大臣の「ねつ造」発言で論点が拡散してしまった感のある<放送法と官邸圧力>の問題。放送法の解釈が時の政権に委ねられるのではなく、これを国民の手に取り戻すために今、何をすべきなのか?“報ステ降板騒動”を通じて、官邸によるメディア圧力を身をもって体験した元経産官僚・古賀茂明氏の提言をお届けする。

――小西文書を読むと、政権に批判的なマスコミの口封じをしたい安倍首相の意を受けた、あるいは汲んだ礒崎首相補佐官が自分の担務でもないのに(注・礒崎秘書官の担務は経済安全保障と選挙制度)高市総務大臣の頭越しに総務省の放送行政に介入し、放送法4条の解釈変更を強圧的に迫ったプロセスがよくわかります。

古賀茂明(以下同) 当時、安倍政権がマスコミに圧力をかけていたことは「報道ステーション」降板という自身の体験を通して、ある程度理解していたつもりでしたが、まさかここまで官邸が露骨に、しかも非民主主義的な手法で放送法4条の解釈を変更していたとは本当に驚きました。

こうした放送法の根幹に関わる解釈変更は小西文書で総務省出身の山田真紀子首相秘書官が指摘しているように、本来なら内閣法制局に事前相談するとか、審議会を回した上で整理するとか、あるいは国会でオープンに審議して法改正してから行うべきものなのです。

――放送の自律、自由への権力介入に他ならず、けっして許されることではないと。

もちろんです。小西文書によって報道の自由が一政権によって歪められ、侵害されたことがわかった以上、「ひとつの番組でも政治的公平性を判断できる」とした2016年の政府統一見解は撤回されなくてはなりません。

岸田政権では放送法の解釈は何も変わっておらず、16年の統一見解は『従来の解釈に補充的な説明を追加しただけ』と逃げていますが、詭弁もいいところです。実際には放送業者は政治権力からのプレッシャーを受け続けており、岸田政権はこの統一見解を今すぐにでも見直すべきです。

次のページ
岸田首相は「高市更迭」を様子見


全文です
https://shueisha.online/newstopics/117646
posted by イズノスケ at 11:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月22日

袴田巌さんの再審開始が確定 東京高検、最高裁への特別抗告断念

袴田巌さんの再審が確定しました。
証拠のねつ造という恐るべき国家権力の横暴が明らかになった袴田事件は、再審決定により袴田さんが無罪とがなる可能性が大きくなりました。本当に良かったです。

毎日新聞 2023/3/20

袴田巌さんの再審開始が確定 東京高検、最高裁への特別抗告断念

1966年6月に静岡市(旧静岡県清水市)で一家4人が殺害された強盗殺人事件で死刑が確定し、2014年3月に静岡地裁の再審開始決定で釈放された袴田巌元被告(87)の再審請求で、東京高検は20日、地裁に続き再審開始を認めた13日の東京高裁差し戻し審決定について、最高裁への特別抗告を断念すると弁護団に通知した。抗告期限は20日だった。21日午前0時を過ぎれば袴田さんの再審開始が確定する。袴田さんが無罪となる公算が大きくなった。

 死刑囚の再審開始決定が確定するのは87年の島田事件以来36年ぶりで5事件目。過去の免田、財田川、松山、島田の4事件ではいずれも死刑囚の無罪が再審で確定している。

 差し戻し審の争点は、袴田さんが勤務していたみそ製造会社のみそタンク内から、事件の約1年2カ月後に見つかった犯行時の着衣とされる「5点の衣類」に付着した血痕の色調だった。確定判決は、5点の衣類は袴田さんのものだと認定して有罪の最大の根拠とし、血痕には赤みが残っていることが前提にされた。

 これに対して高裁決定は、血痕が付着した衣類をみそ漬けして「1年以上みそ漬けされた血痕に赤みは残らず、黒褐色に変化する」とした弁護側実験の信用性を認めた。血痕の色調は確定判決と正反対の結果となるため、決定は「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」と判断。捜査機関が5点の衣類を捏造(ねつぞう)した可能性が極めて高いと言及した。

検察側も差し戻し審で、独自にみそ漬け実験を実施し「血痕には赤みが残る」と主張したが、高裁決定は「事件当時の状況より血痕に赤みが残りやすい条件だったのに、むしろ赤みは残っていない」と評価。弁護側の主張を逆に裏付ける結果になっていると判断した。検察側が実験結果の写真撮影で赤みが出やすい白熱電球を用いたことも問題視していた。【志村一也】


posted by イズノスケ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月21日

菊地市長施政方針の真意を改めてお聞きします  鈴木議員一般質問 ・・・ 菊地市長施政方針 その2

現在、伊豆市議会が開催されています。3月13日から15日まで一般質問が行われました。
鈴木議員は令和5年の市長施政方針演説に絞って質問しました。
菊地市長は令和5年施政方針を昨年度と全く同じものとしました。
施政方針とは令和5年の伊豆市政に向けての市長による基本的な考えをを述べる重要な位置づけにあります。
市議会を傍聴していて私が施政方針を聞いたとき大変驚きました。「重要な施政方針が昨年と一字一句同じなのはなぜ?」

鈴木議員が一般質問で「市長の施政方針演説の真意」を質問してくださったので、そのやり取りを紹介したいと思います。
このやり取りで疑問が解消されたでしょうか。

鈴木議員質問

今定例会初日、令和5年の市長施政方針演説が行われました。市長は演説の冒頭、今年の施政方針はあえて昨年と全く同じにしました」と述べられ、以降はその理由の説明と「1年前」の施政方針演説と原稿を読むと言った極めて異例の施政方針演説がなされました。
そこで伺います。

@市長の演説の真意を改めてお聞きします。

市長答弁

市長の権限は二つある。一つは伊豆市を統括してこれを代表する。もう一つは市の事務を管理しこれを執行する。
私が「伊豆市民を代表して」というのは一つ目の立場。
2番目は市役所の管理者として統率する。統率は指揮と統御で構成される。
指揮とは命令を与えて職務を実行させること。
統御は命令ではなく自らの背中で職員に服従を求めることである。
指揮は論理的、合理的に遂行できるが、統御には職員の模範となる責任感、人徳の包容などが求められる。その意味での私の施政方針で職員が疲弊していると述べた。私自身の統御が不十分であることを吐露したことになり忸怩たる思いである。多くの職員は元気に日々勤務しているが職場を覆っている雰囲気を心配している。

新年度予算案は議会の承認を頂いた後に市職員に実行を命ずる指揮の発動となる。東京2020の成功、新型コロナの落ち着きなどを経て事業を着実に進めていく状況になりつつある。事業変更の大きな変動はない。
人口減少が最大の課題であることは議会や市民とも共有されている。このような状況の中、あえて同じ施政方針を維持することで、市役所の内包する問題を共有してもらうことに意義があると判断した。一般質問で私の目的が達成されつつあると感じている。

続きます
posted by イズノスケ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 伊豆市議会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月19日

緊急事態条項 国の権限強化は悪い冗談

岸田政権になり急速に動き出した憲法論議。安倍晋三氏が首相の時は、野党の警戒感が強くなかなか進みませんでしたが、岸田首相になってから急速に進み始めているようです。
旧安倍政権の敷いたレールに乗って進んでいるだけなのにどうして?
岸田首相のしゃべり方、クラゲのような柔軟性(いい意味ではない)は安倍さんのように「何をやらかすか分からん」という警戒心を和らげているのでしょうか。
ウクライナ戦争や中国、北朝鮮への脅威を背景にした軍備拡張は進み、世界第3位の軍事大国にまで成ろうとしています。
強大な軍事を背景に第二次世界大戦、太平洋戦争に突入していった反省から平和憲法が生まれました。
その平和憲法を根本から覆していまいかねない憲法改正論議、とりわけ緊急事態条項論議には恐ろしさを感じます。


2023/3/19  

毎日新聞・日曜版連載 松尾貴史のちょっと違和感

緊急事態条項 国の権限強化は悪い冗談

 作家の大江健三郎さんが亡くなった。知の巨人であり、日本文学の最高峰と言うべき作品を執筆されていたが、執筆活動の傍ら、日本国憲法を守る啓蒙(けいもう)活動もしておられた。「憲法9条こそが日本の安全保障である」ということを、分かりやすく伝えていた。社会に閉塞(へいそく)感があると「なんでも変えてしまえ」というムードが湧きがちだが、それに警鐘を鳴らしてくれていたのだ。こういう時だからこそ、あまねく国民一人一人に健康で文化的な生活をする権利があることを権力者に約束させてくれている憲法を、権力者が自分たちに都合良く変えようとすることに、内容も考えずに力を貸すようなことはしてはならない、と教えてくれていたのだ。

 巷間(こうかん)、テレビのニュースやワイドショーでは、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で大谷翔平選手を筆頭とした選手たちが活躍している話で持ちきりだ。暗い材料ばかりの日本に、彼らが一筋の光を与えてくれていること自体は素晴らしいが、その陰で、国会では、あのナチスドイツが利用して世界の惨状を招いた悪法「全権委任法」と同質の「緊急事態条項」を憲法に新設する話が進行している。都合のいい時だけ野党のふりをする日本維新の会や国民民主党が、国民を守る憲法を毀損(きそん)したり停止させたりする力までも政権に与えてしまう恐ろしい企てに加担するという展開になっている。

 維新や国民などは条文案をまとめる方針ということだが、そもそも緊急事態条項というのは、国家緊急権に基づいて、戦争、災害、恐慌などに対応するため、国家権力を特別に強化させるという性質のものだ。緊急事態の宣言が発せられた時には、国民それぞれの基本的人権は奪われ、公権力による非人道的なことが日常的に行われる恐れがある。

 「でも緊急事態ならば仕方がないだろう」などと思う人もいるだろうけれども、内閣の都合で何度でも「緊急事態」を延長することも条文に定めれば可能になる。当時、先進的な平和憲法だと言われたワイマール憲法下で、ナチスが強大な力を手に入れたのも同じ図式だ。

 そもそも「戦争が起きやすい方向へ誘導している」としか私には思えない岸田文雄政権が、緊急事態条項を手に入れたら何が起きるだろうか。憲法の重要条項で、永久に戦争を放棄することがうたわれているのに「戦争への対応」で「権力を強化」するという矛盾は何だろうか。恐慌が起きるとすれば、もちろんさまざまな要因があるだろうけれど、その原因の一つは長い間政権の座についている自民党の失政であると感じている私としては、こんなばかげた権限強化は悪い冗談でしかない。

 また、災害時の対応でも、西日本豪雨の深刻な被害が明らかになる前に「赤坂自民亭」などという懇親会で浮かれていた人たちにどんな権限を与えると言うのか。東日本大震災での原発についての教訓をまるでなかったことのようにしようとしている岸田首相に、どんな権限強化を許すのか。

 盗人に追い銭どころの話ではない。何度も言っているが、これは憲法改正ではなく、大きく後退、劣化させる憲法改悪なのである。全ての法律の根本にあるのが憲法であり、それに基づいて今日の社会が成り立っている。大きな犠牲を払った敗戦の反省に立って、私たちは平和を享受することが許されているのだ。

 大江さんは、先日16年の歴史を終えたNHKのFMラジオ番組「トーキング・ウィズ・松尾堂」にも、快く出演してくださった。録音の前日には、私の前芸名「キッチュ」にまつわる伊丹十三監督との思い出をファクシミリにしたためて送ってくださり、感動した思い出もある。

 今一度邂逅(かいこう)を、と切望していたけれども、かなわなかった。

 哀悼。(放送タレント、イラストも)=3月14日執筆
posted by イズノスケ at 10:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする