最近80歳代の女性から人生相談を受けました。
「夫が電気代とか私の健康保険料などは払ってくれるが、年金のほとんどを自分のためだけに使い、家計に入れてくれない。家計は私の年金で今までやりくりしてきた。しかしもはや限界、夫の年金を半分くらい私に渡してほしい、と思っているが間違っているだろうか」
今時こんな夫婦がいるのだろうか?と思ったが、私に嘘をついても何のメリットもありませんから大半は事実でしょう。
私はその女性に以下のようなアドバイスをしました。
「今は夫の年金の半分くらいは妻の物であるという時代だよ。当然だよね、夫だけで家庭を作ってきたのではないから。しかし、妻の権利だと居丈高に要求してもそのような男性は開き直り、うまくいかないから冷静に話し合い、自分の考えを夫に提案してみたらどうだろうか」
とはいうものの、そうした男性の意識は簡単には変えられないとも思います。
問題は、女性としての権利意識の低さの結果として現状があるのなら、まず、自分自身の考えを改め直していくことが必要であろうと思います。
男女が決して平等でない日本で女性が生きていくことの過酷さは、男には実感としてわかりずらいことも事実です。しかし、男女平等率が世界で125位という情けない日本を変えていくには、男性の意識を変えていくことと共に、女性自身が権利意識をもっと発揮していかなければなしえないことであると、相談を受けて私は思いました。
毎日新聞 2023/6/30 社説
男女平等度が世界125位 改善なければ未来開けぬ
世界の動きから大きく取り残されている。現実を直視することから始めなければならない。
世界経済フォーラムが発表した今年の男女平等度ランキングで、日本は146カ国中125位だった。過去最低の順位である。
完全な平等を「1」とした場合のジェンダーギャップ指数は0・647だ。発表が始まった2006年から横ばいである。有効な手を打たないうちに、多くの国に追い抜かれた形だ。
経済、教育、健康、政治の4分野で評価されるが、不平等さが顕著なのは経済と政治である。
経済分野では123位に低迷した。要因は、企業の役員や管理職に女性が少ないことだ。
上場企業の役員に占める割合は、昨年7月時点で9・1%にとどまる。東京証券取引所の最上位「プライム市場」で見ても、女性役員ゼロの企業が2割近くある。
女性が指導的立場にいる企業の方が、利益率が高いとの研究がある。業績に響きかねない問題だ。
投資家の目も厳しい。役員に女性がいない企業の株主総会では、トップの選任に反対する動きが出ている。
政府は東証プライム上場企業について、30年までに女性役員の比率を30%以上とする目標を設定した。各企業が積極的に、人材の育成と登用を進めるべきだ。
より深刻なのは、政治分野である。改善を進めて順位を上げた国が目立つ中、138位と最下位に近いレベルに落ち込んでいる。
衆院議員464人のうち、女性は48人しかおらず、割合は10・3%である。閣僚は20人中2人だけだ。長らく問題視されてきたにもかかわらず、この有り様だ。
参院を含めた国会議員の女性比率が11・8%にとどまる自民党はようやく、今後10年間で30%に引き上げる目標を掲げた。衆院選の比例ブロックでは女性候補者を名簿の上位に載せるという。実現に向け、本気度が問われる。
男性に偏った組織は議論が硬直化しやすい。意思決定の場に多様な視点があってこそ、変革が可能になる。女性の参加を阻む障壁は取り除かなければならない。
現状を打破するには社会全体で真剣に取り組む必要がある。さもなければ日本の未来は開けない。