2012年11月21日

住民の不安に応え続けて欲しい・・・「神隠しされた街」を作った詩人・若松丈太郎さん

衆議院選挙が25日後に迫り、14もの乱立した政党が政策を争って語っていますが、東日本大震災や福島原発事故に関して語る政党は少く、メディアでの報道も減ってきました。
それどころか、驚くべきことに日本維新の会石原代表からとんでもない発言が飛び出してきました。

「核シュミレーションは抑止力になる」 「持たぬと発言権がない」

福島原発の事故から2年もたたないうちに出てきたこうした発言何か恐ろしい気がします。

先日毎日新聞コラム「メディア時評」に若松丈太郎さんが福島原発事故の現状を投稿しています。若松丈太郎さんは福島県南相馬市に住んでいる77歳の詩人です。若松さんの詩「神隠しされた街」は、福島第1原発事故の17年前に作られたものとは、とても思えないません。詩人の想定力は「想定外」をきちんと想定していました。その詩とともに若松さんの投稿を紹介いたします。

私は東京電力福島第一原発の北25キロにある自宅で暮らしている。昨年3月の「核災」(核による災害)発生から4日後、私たち夫婦は自主避難し、35日後の4月19日、避難先の付記しましから帰宅した。自分の「場」で暮らしたかったことに加え、75キロ北西の福島氏より南相馬市の放射線量が少なかったからである。ほどなく「緊急避難準備区域」に指定された自宅一帯は5ヵ月後、指定解除された。

だが、解除後も多くの住民の不安は消えていない。住民が最も知りたいのは、福島原発がどんな状態にあり、作業が順調にすすんでいるかということだ。

全文は以下をクリックしてください。

若松丈太郎.pdf

神隠しされた街

4万5千人の人びとが
たった二時間の間に消えた
サッカーゲームが終わって
競技場から立ち去ったのではない
人びとの暮らしがひとつの都市から
そっくり一度に消えたのだ

「三日分の食料を準備して下さい」と
多くの人は3日たてば この街にの街に帰れと思っていた
小さな手提げを持って 仔猫だけを抱いて
老婆も病人も バスに乗った

チェルノブイリ事故発生40時間後のことだった
1100台のバスに乗って4万5千人が消えた
鬼ごっこする子どもの歓声が、垣根ごしのあいさつが
郵便配達のベルの音が、ボルシチを煮るにおいが
家々の窓のあかりが 人びとの暮らしが
ひとつの都市プリピャチが 地図のうえから消えた

それから10日が過ぎて
チェルノブイリ原子力発電所から 半径30キ0ゾーンは
危険地帯とされた
5月6日から3日間のあいだに9万3千人、あわせて約15万人の人びとが
100キロ、150キロ先の村にちりぢりに消えた

東京電力福島原子力発電所から半径30キロゾーンといえば
双葉町  大熊町  菅田岡町 楢葉町  浪江町  広野町
川内村  都路村  葛尾村 小高町  いわき市北部
そして私の住む原町

私たちが消えるべき先はどこか
私たちはどこへ姿を消せばいいのか

日がもう暮れる 鬼の私はとほうに暮れる
みんな神隠しにあってしまったのか
うしろで子どもの声がした気がする
振り向いてもそこにはだれもいない

神隠しの街はこの地上に もっともっとふえていくだろう
私たちの神隠しは 今日すでにはじまっている

後ろで子どもの声がした気がする
ふりむいてもそこには誰もいない
広場にひとりたちつくす
posted by イズノスケ at 10:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 原発事故 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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