2021年03月11日

福島原発事故10年「これが復興か 福島の今」を終えるにあたって

2021年3月11日、東日本大震災、福島原発事故から10年を迎えます。
私は2017年4月に仲間とともに福島原発事故自治体を訪れ、ブログに記録しました。
その記録を紐解きながら、福島原発の現在の姿を新聞報道などから引用させていただきながら、被災自治体がどのように復興をしてきたのか私なりに検証してきました。
2021年3月11日で10年を迎えても、福島原発被災自治体の復興は未だに道半ばであり、双葉町のように絶望的な自治体もあることがわかります。
原発事故がいったん起きたらどのような事が起こるのか、福島原発を見ても歴然としているも関らず、原発の再稼働を推進しようとしています。このシリーズを終わるにあたって、福島原発の現状がどうなっているのか、毎日新聞報道から見てみましょう。

2017年04月11日
「これが復興か 福島の今」を終えるにあたって

福島原発事故が起こって6年、そんなことはどこかへ行ってしまったかのように、原発再稼働が次々と行われています。
原発による電力は安いという迷信はすでに崩れてしまいました。そして原発が無くても日本の電力は大丈夫ということも証明されました。それなのに何故原発の再稼働を急ぐのでしょうか。
福島の現状はマスコミ報道からはあまり真相が伝わりません。そして、阿部首相が3.11追悼式で原発事故に全く触れなかったように、政府はできるだけ原発から国民の目をそらそうとしているとしか思えません。それはオリンピックという大事業が間近に控えているからだと言われています。

静岡県でも浜岡原発が運転停止中です。運転再開に向けて様々な取り組みが実施されているようですが、いつ来てもおかしくないと言われている大地震に対しての備えは万全なのでしょうか。
もし福島のような原発事故が発生したら、福島を大幅に上回る大災害になると言われています。
福島の現実は他人事ではない。自分たち自身の問題としてとらえなければならないという思いを強くした研修でした。

http://iizusiseirepo-to.seesaa.net/article/448894991.html?1615381784


原発事故10年/3 見えぬ廃炉、費用青天井 現状の見積もり

毎日新聞 2021/3/4 

水素爆発によって建屋の上部が吹き飛ばされ、鉄骨がむき出しになった1号機、灰色のカバーで覆われた4号機――。東京電力福島第1原発事故の発生から10年。現場には今でも生々しい爪痕が残る。2月16日午後、視察ツアーに参加した記者が海抜35メートルの高台から原子炉を見下ろしていると、10分ほどで左胸ポケットに入れた放射線測定器の甲高い機械音が鳴り響いた。1日に浴びられる放射線上限値の5分の1に到達した合図だ。

 敷地内では約4000人態勢で廃炉、除染作業を進めており、白い防護服や防塵(ぼうじん)マスク、手袋、ゴーグルといった重装備の作業員らとすれ違う。除染が進み、敷地内の96%には一般的な作業服で立ち入れるようになったが、原子炉建屋付近の放射線量はなお高く、重装備でないと近づけない。

 廃炉、賠償、除染など福島第1原発事故の処理にかかる費用は膨らむ一方だ。事故を起こした原発の廃炉や、避難を余儀なくされた住民への賠償などに巨額の費用がかかることは、事故直後から想像がついていた。原子力事業者の賠償責任を定めた原子力損害賠償法は、電力会社が無限責任を負うよう定めているが、「異常に巨大な天災」が原因の場合は免責になるという例外規定がある。「『想像していなかった地震と津波が起きたのだから、東電の責任ではない。そのため免責すべきだ』といろいろな人が言ってきた」。当時の首相、菅直人衆院議員は振り返る。当時の財務省担当者は「東電を免責すべきだとの意見の一方で、東電を法的整理(倒産)させるべきだとの声も強く、双方から責められた」と語る。

 同省を中心に急ピッチで調整を進めた結果、国が一時的に廃炉や賠償費用を立て替え、東電が電気事業で得た利益で返済するなどの枠組みを作り上げた。東電は法的整理を回避したものの、2012年7月に国から1兆円の出資を受け実質国有化された。当時、内閣官房で制度の策定に関わった元経済産業省の北川慎介氏(62)は「法的整理は合法的に借金の棒引きができるが、それでは被災者への債務である賠償ができなくなる恐れがあった。国が税金で費用を支払うのも通らないと感じた」と振り返り、こう付け加えた。「今でもこれしかなかったと思っている」

 しかし、高い放射線量に阻まれるなど廃炉は難航し、賠償や除染にかかる費用も膨らんでいった。16年には事故処理費用の見積もりを11兆円から22兆円に倍増せざるを得なくなり、賠償費用は東電を中心とした大手電力だけでなく、新たに参入した新電力にも負担を求めるなど枠組みの見直しも迫られた。電力会社の負担分は電気料金に上乗せされており、結果的に事故処理費用を背負っているのは国民だ。

 東電はコスト削減などに全力を挙げているものの、収益改善の柱とされる柏崎刈羽原発の再稼働が想定以上に遅れている。4兆円と見積もる除染費用については、国が保有する東電ホールディングス株の売却益を充てる計画だが、同社の株価は事故前の6分の1と低迷。計画達成には株価が現在の約4倍の1500円になる必要があるが、見通しは立たない状況だ。

処理水も八方塞がり

 さらに昨年12月、廃炉作業を点検する国の会議で東電が21年中に始める予定だった燃料デブリ取り出しの1年延長が報告された。英国企業に委託したロボットアームの製作が間に合わないためだ。21年1月には原子力規制委員会が、2、3号機の原子炉格納容器の上部に当たる部分が極めて高濃度の放射性物質に汚染されていたとの調査結果を公表。梶山弘志経産相は「廃炉作業はある程度の高線量下で実施されることを考慮して策定されている」として現行の廃炉スケジュールは見直さない姿勢を示したが、「今後も予測の難しい作業が想定される」と認める。

 福島第1原発の敷地内には、原子炉建屋を取り囲むように青や灰色の円柱形のタンク約1050基(約124万トン)が並ぶ。タンクに貯蔵するのは汚染水から大部分の放射性物質を取り除いた汚染処理水だ。地下水や雨水が原子炉建屋に入り込むなど、現在も毎日140トンの汚染水が発生している。汚染水は22年度末には保管容量(137万トン)の上限に達する見通しで、政府はさらに浄化処理した水を海に放出する方向で検討しているが、地元漁業者の反発などで判断を先送りしている。

 公益社団法人「日本経済研究センター」は、処理水に含まれるトリチウムの除去技術が確立された場合、除去に約40兆円かかるとして、現在8兆円と見込まれている廃炉費用が51兆円に膨らむと試算している。事故処理費用全体では81兆円に上る可能性があるという。小林辰男・主任研究員は「タンクを陸上保管し続ける場合、管理費は年間1500億円ずつかかる」と指摘する。

 一般財団法人「日本エネルギー経済研究所」の村上朋子原子力グループマネジャーも「事故処理費用は年約1兆円以上ずつ増えるのではないか」と指摘。政府内からも「現在の金額では収まらなくなるのは必至だ」との見方が出ている。

 ある経産省幹部は「処理費用のスキームはICU(集中治療室)のようなもの。いったん処置したが、悪くなればいずれ見直しが必要になる」と語る。同省からは「日本最大の電力会社がいつまでも国有化されていていいわけがない」として、廃炉や賠償は国の関与を強める一方で、東電は政府の脱炭素方針に基づき技術革新などを主導すべきだとの声もある。

 処理費用は現状の見積もりより膨らむのが確実なのに、国はその不都合な真実を明かさず、責任の所在を曖昧にしたまま原発再稼働に力を入れ始めている。国際大の橘川武郎教授(エネルギー産業論)はこう話す。「果てしない廃炉、賠償といった事故処理を続ける会社は世界中のどこにもなく、いずれ国、東電ともに責任を放棄するのは目に見えている。原子力依存からの脱却なしにエネルギー政策の行く末を語れない時代に突入しているのではないか」【高橋祐貴、藤渕志保、工藤昭久】

https://mainichi.jp/articles/20210304/ddm/012/040/094000c

posted by イズノスケ at 00:00| Comment(0) | 東日本大震災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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