ある地方議会の議員をされている方から年賀状が届きました。そこにはこう書かれています。
「今だけ、金だけ、自分だけ」いつまで続く? 地方議会から声をあげていきます。
11月10日に新設された伊豆市クリンセンター(廃棄物焼却場)の式典が開かれます。
20年間の運営管理費も含め事業費・200億円余もの巨大な事業がスタートするのです。
このブログでは伊豆市伊豆の国市は一般廃棄物処理建設・管理運営事業について、事業決定過程や巨額な事業費について、いろいろ意見を述べてきました。
この事業は両市市議会、また両市市民を交え活発な議論がなされたうえで、完成、事業開始となったのです。
事業が開始されたからには、この事業が市民に説明された通りの運営がなされ、両市の一般廃棄没処理事業の為に安全に、効率よく運営されていくことを期待していきます。
伊豆市ではこれから新中学校建設事業、廃棄物リサイクル場の建て替え事業、松原公園避難タワー事業などの大型公共事業が続きます。
これらの事業費は市債という借金でほとんど賄われます。菊地市長の言う「有利な借金」であっても、借金はいずれ返還していかなければなりません。
日銀の政策の見直しにより、長期金利の上昇が始まりました。金利の上昇は市債の金利の上昇にドッキングします。
金利の上昇による公債費という歳出がこれから増えていきます。
現代はこれから紹介する毎日新聞社説のように大きく変化していくことは間違いないと思います。
そうした社会の大きな変化に対応していけないなら、日本も地方自治体もさらに厳しい社会になっていくでしょう。
伊豆市は豊かな自然に恵まれています。そうした自然と共存した循環型の社会を目指さず、巨額な事業費をかけた公共事業中心の市政が市民の利益になっていくのか、その検証は今後10年くらい先しか出てこないでと思います。
「しまった」となっても後戻りはできません。そうならないことを祈ります。
毎日新聞 2023/1/6
探る’23 「人新世」の地球 成長の方程式改める時だ 毎日新聞社説
18世紀に起きた産業革命以降、人類は科学技術の発展を追い求めてきた。農業や工業の生産性は飛躍的に向上し、医学の進歩で寿命も延びた。
一方、人間の活動によって自然は大きく損なわれた。地球環境は危機的な状況にある。
地球は、人類が圧倒的な影響力を及ぼす「人新世」の時代に入ったのではないか。地質学者らの間で議論が始まっている。
46億年の地球史を、地層から出土する遺物の特徴によって分類する地質年代の新しい呼び名だ。英語で「アントロポセン」、日本語では「じんしんせい」「ひとしんせい」と呼ばれる。
未来の地質学者は、この時代の地層から、おびただしい量のプラスチックや核実験の生成物であるプルトニウム、重金属などを見つけることになるだろう。
コンクリートなど地球上の人工物が、総重量で生物を上回ったとの試算もある。
大量消費モデルは限界
人新世を象徴する現象が地球温暖化の進行だ。各国の取り組みにもかかわらず、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度は上昇を続ける。温暖化に起因する自然災害は、備えが脆弱(ぜいじゃく)な途上国にとりわけ大きな被害をもたらす。
「人口増加と資源の浪費が人類の存続を危うくする」と1972年に警告したのは、世界の知識人らで作るローマクラブだ。報告書「成長の限界」は50年後の現状をほぼ正確に言い当てた。
昨秋には新たな報告書「万人のための地球」を公表した。貧困、不平等、女性の地位、食料、エネルギーの5分野で劇的な方向転換を求めている。実現には、短期的な利益や効率を優先する経済構造を変えなければならない。
先進国の成長を支えたのは、資源を採掘しては製品にし、使った後は捨てるという「大量生産・大量消費・大量廃棄」の経済モデルであった。現在、成長途上にある国々も後に続く。
だが、地球の資源は有限だ。今世紀中には世界人口が100億人に達する。生産に際して新たな資源は使わず、廃棄物も出さないことを目指す「循環経済」への転換が不可欠だ。
米アウトドア企業「パタゴニア」は、2025年までに製品の原料を全て、再生可能な天然素材やリサイクル材料とする目標を掲げる。創業者のイボン・シュイナード氏は昨年、全持ち株を環境団体に寄付して話題を呼んだ。ビジネスは地球環境のためにあり、「私たちの唯一の株主は地球である」との信念からだ。
米アップルはアイフォーンの修理マニュアルを公開し、カメラやバッテリーなどの部品を交換できるようにした。背景には、欧州で高まる「修理する権利」への配慮がある。
かつて、太陽電池パネルやハイブリッド車で世界をリードし、環境先進国と呼ばれた日本はどうか。前例踏襲型の思考から抜け出せず、循環経済への転換で出遅れている。
まず企業が変わらねば
消費者の意識改革も課題だ。米国のコンサルティング会社が11カ国を対象に実施した昨年の調査では、「自分の行動が気候変動に与える影響を気にする」人の割合は日本が最下位だった。「影響を減らすために自分の消費を制限できる」人は日本で45%に過ぎない。他の10カ国では80%を超え、格差が浮き彫りになった。
「循環経済への転換をためらう日本企業は、消費者の意識が低いことを言い訳にしてはならない」と指摘するのは、この分野に詳しいコンサルタントの夫馬(ふま)賢治さんだ。「企業の側から積極的に発信して変わっていかなければ、日本は井の中のかわずになってしまう」と警鐘を鳴らす。
現状を変えることはコストやリスクを伴うが、長期的な視野に立てば生き残るすべは他にない。
経済を評価する物差しを変える必要がある。市場を介したカネのやりとりを示す国内総生産(GDP)偏重を見直し、ボランティアなどの無償労働やシェアリングエコノミー、モノ以外の豊かさに着目した新たな経済指標を検討してはどうか。企業の努力を後押しする政治の役割も重要となる。
国連の持続可能な開発目標(SDGs)は今年、15年間の取り組み期間の中間地点に当たる。地球の供給力や再生力の限界を見据え、成長の方程式を改める時だ。
2023年01月06日
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