岸田首相は福島原発事故でたまりにたまった処理水を24日に海洋放出すると発表しました。
福島原発を訪問した岸田首相は東電幹部と意見交換したのみで、海洋放出に反対している地元の漁業者への説明はしませんでした。
「地元や漁業関係者の理解を得られないならば放出しない」という約束を裏切った暴挙です。
この海洋放出について私の知り合いが以下のような見解を述べています。
@処理水の拡散
放出口周辺海域の放射性物質の濃度は、それ以前の濃度より確実に高くなる
例えば、洗面器にインクを一滴落としてみれば容易にわかるように、滴下地点の色が濃くなり、その地点から遠ざかるほど希釈されていく。
したがって、常時放出される処理水の濃度は放出口付近で最も濃度が高く、海流などの影響を受けながら徐々に周辺海域に拡散する。
A生体濃縮と食物連鎖
処理水の放出された海域では、魚介類の体内に放射性物質が取り込まれ、食物連鎖によって魚介類の生体内濃縮が生じる。特に、水俣病で広く知られる有機水銀などのように、生体内に取り込まれたトリチウムやセシウムなどの放射性物質は体内に蓄積して、体外に排出されることはない。即ち、最終食物連鎖となる人間の体内で濃縮され蓄積されていく。
B希釈放出
希釈放出される処理水は、IAEAによって問題ないと判断されているが、ここで勘違いしていけないのは、希釈されるといったところで、放流される放射性物質の総量は変わらず、決して減少しているわけではない。
政府自民党や多くの野党、マスコミ報道を見ていると、海洋放出自体は問題ないという前提にたち、政府や東電の地元への説明不足や今後の風評被害が中心となっています。しかし肝心の処理水が環境や生態に与える環境についての議論があまりされていないように思います。
政府は処理水放出が問題ないとするならば、今後環境や生態に対する影響を納得できるように国民に説明すべきですし、国会でもこうした観点での議論が行われる必要があるでしょう。
2023年08月23日
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