2011年11月13日

学校再編 その4 どのような子供を育てたいのか

学校再編 その3で学校再編のための本質論(理念)が欠如しているのではないかと述べました。

平成21年6月9日の伊豆市議会定例会において、西島信也議員が学校再編の「本質論」を取り上げて質問していますので少々長いですが、このことを考える上で参考にしてください。


教育長さんも苦しい答弁があるわけですけれども、とにかく私が申し上げたいのは、9キロも10キロもどうやって通わせるんだと。普通考えたっておかしいじゃないですか、そんな遠くへ通わせるということ自体が。私はそう思います。

私は最近修善寺図書館へ行ってきたわけですけれども、こんな本を見つけたんです。「子育て教育を宗谷に学ぼう」という修善寺図書館にある本です。教育長さんは先ほどの答弁で、小規模校は全面的な否定をするわけじゃないけれども、だけれどもやっぱり2学級のほうが教育上いいんじゃないかと、こういうことをおっしゃったわけですね。

この宗谷というところはどういうところかといいますと、北海道の北端にある地域です。面積が4,077平方キロメートル、これは北海道の20分の1です。広さとしては、静岡県の半分強の大きさのところです。そこはどういうところかといいますと、今まで主力産業でありました炭鉱、これはすべて閉山されました。漁業も昔言いました200海里問題なんてありましたけれども、漁業も不振、酪農、農業も外国産製品に押されて、これも不振という、そんなような地域です。人も少ないと。

この本によりますと、小学校はこの地域に74校あるわけです。このうちの複式学級のある学校は4分の3。中学校は全部で35校。このうち小中一貫校といいますか,併置校といいますか、これが16校、中学校の複式校は約5分の2が複式校ということでございます。こんな環境の地域の子供たちでも、この本によりますと、皆さん子供たちは:元気で明るいということを言っています。

この宗谷の教育、どういう教育をしているかというと、それぞれの学校が取り組んでいるのは2つの共通の取り組みがあるということなんです。 1つは、子供たちに真の学カをつける。2つ目、子供たちに生きる力を育てる。この2つを目標にして取り組んでいるわけなんです

そして、最初の真の学力をつけるというのはどういうことかというと、学力は単に受験のためでなくて、将来、子供たちの未来を開くための学力をつけるのが1つ。それから生きる力を育てる。これは宗谷地方も非行化の子供あるいは無気力な子供がだんだんふえてきていると。都会に限らず、都会と同じように例外なくそういうのが進行していると、こういう中でも、子供たちがどのような集団の中でもちゃんとやっていけるような教育をする。やがて、大都会で働くようなことがある、そういう子供でもちゃんとやっていけるような、そういう教育をつけると、自立していけるような教育をつけると、これがこの本に書いてある宗谷の教育の2つの取り組みなんです。


伊豆市の先生方も意識している、していないにかかわらず、この2つのことはちゃんとやっているじゃないかと思うわけです。それで、私は教育の本質は何かということを考えると、こんな1学級だ、2学級だなんてそんなことじゃなくて、教育というのは通学と、あるいは地域のかかわりを除けばどこでも同じような教育ができると、それを宗谷の教育が示しているわけですけれども、要するに先生、生徒、地域のかかわり方なんです。ですから、私が教育委員会に言いたいのは、こんな1学級、2学級で血道を上げているようなことをしないで、もつと本質的な教育をしたらいかがかなと。大変生意気なことを言うようですけれども、そんな気がするわけです。

学校の教育は、言いますと学校、教師ですね、それと家庭、保護者の家庭、それから地域とこの三者が連携して子供を教育するという、これはもう何十年も前から教育委員会が、県の教育委員会、国もそうなんですけれども、市の教育委員会、町の教育委員会からそういうことを言っているわけですね。
それで、私は教育長さんに伺うわけですけれども、こういう学校統廃合というようなことになると、当然地域との関係が希薄になるんじゃないかと思うわけです。さつき言った学校、家庭、地域と、この連携ということにつきまして、教育長さんどのようにお考えかお伺いします。
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2011年11月12日

学校再編 その3 再編のための「本質論(理念)」の欠如

今、手元にB市会議員からお借りした「伊豆市教育振興審査会の議事録」および「伊豆市小中学校の適正規模と適正配置に関する答申書」があります(この書類もいつかは公開できると思います)。

この議事録を数回読んでみました。5回の審議のうち第5回目は「答申書」の審議ですから、実質は4回の討議で「答申書」が作成されたのです。

それが長いか、短いかは市民の皆様がどう考えるかはわかりませんが、私は先回のブログで書いたようにあまりにも短すぎると思います。

議事録を数回読んでみても4回の審議過程からどのようにして「答申書」が出されてくるのかがよく理解できませんでした。はじめから「答申書」の方向性は決まっていてそれを「公に認めさせる為」の審議会ではなかったかとの疑問を拭い去ることができませんでした。

「答申書」では以下の内容が書かれています。
1・伊豆市小中学校の現状と課題
2・適正規模について
3・適正配置について
4・より質の高い教育提供の為の今後の課題

しかし最も重要なことが欠如しているとしか思えません。

それは「伊豆市の小中学生にどのような子供になってほしいのか、その為の、教育はどうあるべきか」という本質論(理念)がすっぽりと抜け落ちていることです。それに関係しているだろうと思われる上記・4はたったの10行しかないのです。

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2011年11月09日

学校再編 その2 伊豆市教育振興審議会での審議

伊豆市学校再編問題は伊豆市教育委員会から「伊豆市教育振興審議会」に審議が付託されました。

審議を付託された「伊豆市教育振興審議会」では5回にわたり審議を行い、審議結果を伊豆市教育委員会へ答申を行いました。

以下、B議員が教育委員会より取り寄せた「伊豆市教育振興審議会開催所要時間について」という資料より転載いたします。

第1回 
 ・開催日時 平成20年8月19日(火)
      13時30分〜16時23分(所要時間2時間40分)
      但し、13分ほどは、本旨内容でなかったたので削除いたしました。
 ・会場   生きいきプラザ第5・6会議室

第2回
 ・開催日時  平成20年9月29日(月)
      13時30分〜16:00(所要時間2時間30分)     
      但し、13分ほどは、本旨内容でなかったたので削除いたしました
 ・会場   生きいきプラザ第3・4会議室

第3回
 ・開催日時 平成20年10月23日(月)
      19時:00分〜21時:10分(所要時間2時間10分)
 ・会場   生きいきプラザ第1・2会議室

第4回
 ・開催日時 平成20年12月1日(月)
       19時:00分〜20時:50分(所要時間1時間50分)
 ・会場   生きいきプラザ第3・4会議室

第5回
開催日時  平成21年1月15日
      19時:00分〜21時:05分(所要時間2時間05分)
・会場   生きいきプラザ第1・2会議室


伊豆市教育振興審議会より伊豆市教育委員会へ答申をする。
 平成21年1月30日

※ 審議会を開催した総所要時間は11時間15分でした。



「伊豆市小中学校の適正規模と適正配置に関する答申書」の内容を見ると以下の項目が議題になっています。


第1 伊豆市立小中学校の現状と課題
第2 適正規模について
第3 適正配置について
第4 より高い教育提出のための今後の検討課題

適正配置の計画では小学校・中学校の平成21年度から30年度までの統廃合の答申がなされています。

伊豆市の教育現場ばかりでなく、学校周辺住民また伊豆市民にとってもこれから長期間大きな影響を及ぼすであろう重大な課題が、わずか5回、審議時間11時間15分で審議され答申されたのです。

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2011年11月08日

学校再編を考える その1 菊地市長所信表明

12月市議会では天城地区小学校再編が大きな問題として議論されると思います。

これからこのブログでは伊豆市における「学校再編」がどのような経過を経て行われ、これからも進められようとしているのかを、実際の資料を基に述べていきまので「学校再編」について市民の皆様が考える上での参考にしていただければ幸いです。

第1回は伊豆市における「学校再編」について述べたH20年6月5日の伊豆市定例会での菊地市長の初信表明から抜粋します。

市長に当選したばかりの菊地市長は学校再編についてこう述べています。

次に子供の夢を拓く教育について

私たちは平成17年度以降、市内の新生児誕生数が170人台になっている事実を直視しなければなりません。誰しも、自分が学んだ母校に対し強い愛着を抱いています。しかしながら、私も含めた私たち大人は既に、子供の数を激減させてしまったことに責任を持っています。これに加えて、子供の教育に問題を生じさせることがあっては、二重の意味で罪を犯すことになってしまいます。現行の制度で、1学年を2クラス編成にするためには、ひとつの学年で最小限、41人が必要になります。あくまでも数字の上での話でありますが、伊豆市内の適正小学校数は4校ということになります。

このような厳しい現実を踏まえ。なるべく早い時期に、伊豆市の小学校を幾つ、どこに置くかについて、市民全体で議論する場を設定する所存であります。

なお小学校を再編成する場合には、保護者の通学費負担の軽減、公平性をあわせて議論することが当然必要になってまいります。

さらに忘れてならないことは、学校教育において最も重要である、授業自体の質を維持し。あるいは、さらに高めるために、行政と教育現場が率直に意見交換して、行政でできる支援策があるのであれば全力をもって、これを遂行いたします。授業だけはその道のプロである先生にしかできません。先生方がなるべく多くの時間を、授業の準備、実施、成果分析に割くことができるよう行政としての支援策を、速やかに取りまとめてまいります。


市長に就任してわづか数ヶ月、ご自身2回目の市議会で数字上であると前提を置いてであっても市内の小学校の適正規模は4校だと述べていることに驚きを感じざるを得ません。

その後の議論はこの4校を前提に進められていくことになっていきます。

posted by イズノスケ at 11:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 学校再編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする