伊豆新聞・下田版 2017年12月14日
■周辺アクセスで判断
伊豆縦貫自動車道・天城湯ケ島―河津間の計画段階評価で、国土交通省中部地方整備局は13日、第三者委員会の社会資本整備審議会中部地方小委員会を開き、天城越えルートとして西側ルートを選定した。これで計画段階評価を終え、今後は事業化に向け都市計画や環境影響調査などに入る。
ルートは、今年3月に示した西側ルート、東側ルート、現道活用+西側ルートの3案の中から選定した。
西側ルートは、天城北道路・天城湯ケ島インターチェンジ(IC)から国道414号に沿い、浄蓮の滝付近から西側へ回り、河津ICに接続する。延長約20キロ。建設費は約1300〜1500億円。
国交省は、地元や道路利用者などに対する意見聴取を踏まえ▽全線自動車専用道路で整備し、集落や観光地へのアクセス性に優れる西側ルートとする▽ICについては、事前通行(雨量)規制区間を避けるとともに、集落や観光地へのアクセス性を考慮し、配置を検討する―といった対応方針案をまとめ、委員会の意見を求めた。
委員会では、ルートの大半が長大なトンネルで危険物積載車両制限がある東側ルートや、整備効果が低い現道活用+西側ルートと比べ、西側ルートが優れているといった意見があり、対応方針案に同意した。国交省は「自然環境への影響を十分に配慮した上で進めていきたい」と説明した。
計画段階評価は、地域の課題や意見などを踏まえ、概略ルート・構造を検討し、対応方針を決定する手続き。
同委員会は、中村英樹・名古屋大大学院環境学研究科教授を委員長に、学識経験者9人で構成している。一昨年11月に第1回委員会、今年3月に第2回委員会を開き、今回で3回目。
天城越えルートは、伊豆縦貫道整備事業で、事業化が決まっていない事実上最後の区間。先行する天城北道路、河津―下田道路に続き、同ルートが完成すれば、県道路公社の伊豆中央道と修善寺道路を経由し、沼津―下田約60キロが一本の自動車専用道路でつながることになる。
■下田・福井市長「期待一層高まる。早期開通願う」
伊豆縦貫道の終点・下田市の福井祐輔市長は「地元では伊豆縦貫道への期待感が一層高まる。西側ルートは景観が良く、途中にICを開設することも可能。浄蓮の滝やワサビ田など天城の魅力を楽しみながら下田へ足を運んでもらえる。一日も早い全線開通を切に願っている」と期待を寄せた。
■川勝知事「事業化へ大きな前進」
川勝平太知事は「西側ルート帯(案)が了承されたことは、事業化に向けた大きな前進。伊豆縦貫道は地域の経済活動や救援救急活動などを支える重要な道路。全線の1日も早い完成に向け、関係市町と連携して国に働き掛けていく」と話した。
■天城峠道路期成同盟の菊地会長「一歩進み心強い」
伊豆縦貫道「天城峠道路」およびアクセス道路網建設促進期成同盟会長を務める菊地豊・伊豆市長は「事業化に向けて一歩前進したことを大変うれしく、また心強く思う。地域の将来像について、地元の皆さんと話すための大きな契機になる。次のステップの環境影響調査がスムーズに進むことを期待する」と語った。
【図表】伊豆縦貫道天城越えルート
【写説】天城越えルートについて協議する第三者委員会の委員=名古屋市の国土交通省中部地方整備局